Flicka回航(秋穂〜姫島〜別府 直線で45.5nm)
日時:平成18年1月11日(水)
回航者:西 山  隆
予備ガソリンタンク20L、15L缶各1個、オイル1L×2缶携帯
 5:30 まだ暗い中、起床した。ガスボンベなどがないために暖かい飲み物はない。
パンといなりずし、それに冷たくなった缶コーヒーで朝食を摂った。
天候は晴れ、気温−3℃くらい、無風。デッキは真っ白に霜が降りている。いかにも寒い冬の夜明けだ。ホッカイロを6個くらい身体に付けて、ブーツの中にも足用のホッカイロを装着して、寒さ対策を万全にする。その上に愛用のトラウザーズ、ジャケット、ハーネス付ライフジャケットとライフラインを装着した。
 6:50 9.9馬力船外機を始動して暖気運転を開始する。若干エンジンの回転が安定せず、アイドリング中 2回ほど停止するが、再始動が簡単に出来るのでありがたい。
 7:00 出港前に大須賀氏携帯電話の留守電に連絡入れる。各電源を確認したが、明るくなったためにマスト灯は点いているかどうか不明。
 7:20 舫いを解いて出港した。後進を掛けると、固定レバーが硬く固定できなかったために船外機が浮き上がる。何とか元に戻して、前進では問題がないのでそのまま出港する。 本ある竹で作られた標識に沿ってコースを取る。波も無く穏やかな海に朝日が昇る。エンジン出力80% 5.3ktアベレージ。出力を100%にすると、5.7〜5.8ktがMax。
前日、大須賀氏がドライスーツを着用して、潜って船底のカキ落としをしようとしたが、半分も出来ない内に、あまりの水の冷たさに音を上げて一度は断念した。DIYで柄の長いスクレッパーを購入して、再度水上からカキを落とす作業をした。それゆえにカキが落としきれず艇速が伸びないのではないかと懸念されたが、重たい船の割には思ったよりも艇速が伸びてくれるので安心した。大変だったカキ落しが功を奏したようだ。前後のピッチングは20ft艇のそれではなく、非常に安定感がある。
 8:10 大須賀氏のアドバイス通り、沖にある小島の東側を通過。視界6〜7km。
 8:30 メインセール展開。北東の風 風力1 波高30cm程度と、凪の中をこの冬にしては珍しく暖かくなった穏やかな周防灘を南下する。
 9:00風が北から北西に振れる。ランニングで時おりジャイブする。オートパイロットがついていないために、手動で舵を取るが、概ね直進性はよいようだ。しかし、手を離してエンジンの向きを調節しながらまっすぐに走らせようと試みたが、オートパイロット無しではコースは安定しない。この辺りから潮流の影響か4.8ktに速度が低下する。
 10:00 漁場で漁船が多く避けながら進行する。漁場を抜けると今度は本船が多く行き交う航路を横切っていくために気が抜けない。四方まったく陸地の影が見えない。
 10:30やっと姫島の島影を視認した。
 12:20 姫島に接岸した。漁協の側の突堤に付けて地元の人に買い物の間だけの停泊を許可してもらってから、「かの家」という食堂で焼き飯を頼んだ。ここのソース味の海鮮焼き飯はお勧めだ。食料と飲料を隣の店で補給して船に戻り、ガソリン20Lを補給した。
 13:23 姫島を出港。ランニングで機帆走する。風は北。風速が少しずつ上がってきた。真追い手のためにローリングが激しくなる。左右に約30度前後のローリングが続く。





 15:30 国見港沖 北の風、風力2〜3 波高1m 潮目が確認できる。チョッピーな波の中でもコクピットはドライに保たれていてスプレーを浴びず快適だ。本船とすれ違う際の引き波に当たっても、船殻は結構頑丈なようで、いわゆるパシャンとかパタンといった軽い音がしない。排水型線形特有の波を切り裂いていく感じが良く分かる。そのために軽排水量型の船に比べると波に当たった後の速度低下が少ないようだ。エンジン出力50% 4.0ktで南下する。
 16:30 大分空港沖。再び出力を80%に上げる。4.3kt。空港進入路を横に見る位置で、西に進路を振ったので、ストームジブを展開した。エンジンを止めて帆走にすると3kt程度しか速度が出ない。これでは仕方なく再始動した。ここで夜間点灯の準備のためにバッテリー充電状況確認した。バッテリー2のメーターだけだが、約14Vで正常にチャージしていたのを見て点灯する。マスト灯が点かないので、予備で持参したランタンをマストに取り付けた。
 17:00過ぎ、日が落ちた。とたんに気温が下がり寒さを感じ始めた。

 19:00 住吉浜沖 別府までの進路240度にとってアビームで走っていると、多数の定置網を発見する。20mほど手前でかわして、前を見るとコース上に小さな明かりが点滅しているのが見えたために、大きく大分方面に南下してかわした。
20:00宇和島汽船が後ろから接近してきた。しばらく並行して走る。
20:20北浜沖に到着。セールを降下して、出迎えのクラブ員の「お帰り」の声を聞きながらゆっくりと慎重に港口を目指す。 20:45 別府北浜ヨットハーバーに無事入港。大須賀氏がセーラームーンの灯火を点けて誘導してくれた。大きなトラブルはなかったが、久しぶりに12時間以上舵を取り続けたので、少ししんどかった。シングルハンドでのオートパイロットの有用性を改めて認識させられた。ただこの時期にしては珍しく穏やかな海を走ることが出来て幸せだった。





























Flickaの印象
前後に反ったシアーラインのオーシャンゴーイングの船型は非常に可愛らしい、沖縄の船型サバニに雰囲気が似ていなくもないかな?
重排水量型のためサイドに立ってもあまりヒールしない(とても20ftには思えない)
キャビン内の雰囲気は最高、ヘッドクリアランスがしっかり有って、木工細工は素晴らしく、ここで飲む酒はウイスキーかラムが似合うだろう。いや沖縄ならば古酒(クースー)か?
ピッチングは非常に穏やか
波当たりも柔らかく、艇速が落ちにくい
真追い手のローリングは大きい
直進性はいいが手放し出来るほどではない
直進から急ターンをすると非常に舵が重く感じる
上り角は60度くらい、期待できない
帆走性能は期待できない。エンジンを止めると、メイン、ストームで約5m/sの風の中、アビームで3〜4ktしか出なかった
チェーンプレートが若干貧弱に見える
マストステップの造作がオーシャンゴーイングの船の割には貧弱に見える
船殻は比較的固い印象がある
コクピットは非常にドライで快適、スプレーを一度も浴びなかった
ドッグハウスが高いので、セールの揚げ降ろしなどその上での作業に注意が必要
儀送品などは概ね非常に頑丈なものを使用しているが、一部シャックルなどが貧弱なものがあるので交換したほうがいいかも
メインセールはスライダーを使用しているために3秒くらいでセット可能
ジブは赤いゼノアとストーム、ゼノアはコクピットの外側に設置されたレールにセットされサイドステーの外側を通すようになっている。ストームやレギュラーはサイドステーの内側を通しすようになっているようだ
エンジンは静か、足が長いタイプなのでペラが宙を掻く事は、ピッチングが穏やかなこともあり、少ないように思える
80%出力で連続運転した場合の燃料消費量は約4L/h
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