Shift!
SAILOR’S MOON
パート1
『セーラームーンを売ろうぜ!』
ちょうどそのころNetでシイベル325が売りに出ていた
ところが あっという間に完売
『次のチャンスに賭けよう 早めに売ろう』

そんな時 
N氏:『ヨットを見せてほしい「PION」ですが なにぶんヨットは初めてで
    たぶん買わないと思いますが良いですか?』
私 :『良いですよ いろんな艇を見てからじっくり研究して下さい
    カタログや本を見て悩む間も楽しいものですよ』
試乗当日は雨の「湯煙レース」 熊本から友人二人と試乗後
N氏:『お世話になりました 資金も無いのでたぶん買えないと
    思いますが 今日結論を出さないとだめですか?』
私 :『いえいえ あわてて買うと後で苦しむのでゆっくり検討してください』

その翌日
N氏:『買います!で 売買はどうしたら良いですか?』
私 :『お客様から預かった艇ですので 契約書と手付金が必要です』
N氏:『では 手付金を振り込みます○○円ですね?』
私: 『ん?あの〜 「PION」ですよね そうすると手付金は○○円ですよ』
N氏:『後で試乗したあなたの艇ですから○○円でしょう?』
ということで 愛艇 悪名?高い「S/M」は天草へとお嫁入り。
つづきは 回航レポート「西へ!Vol−U」をご覧下さい。
パート2
平成16年たびかさなる台風が上陸し各地で艇の被害は甚大なものとなった 私の所属する佐伯セーリングクラブでも 瞬間風速58メートルというかってない風速を記録し その時に海上係留の仲間の艇はデスマストした
オーナーのA君より相談を受けたが彼の限られた予算ではマストを関東まで送り本格的な修理又は交換をするには苦しい。
そんな時 徳山のT氏から所有艇を処分したいとの連絡を受ける
台風でかなりダメージを受けたのと 近い将来の買い替えの為にとのこと
A君とT氏の艇はまったくの同型艇
早速 徳山に出向いて現状を確認し買取を決めた。

回航はS/Mのメンバー 永井君と私
早朝に競艇場隣のボートパークを出航 姫島を目指す
笠戸湾を機走中 スタンチューブからの浸水が激しく ペットボトルを利用した
垢くみバケツを作って排水しつつの航海
出航前に潜ってぺラの掃除はしたが艇速が伸びない メインセールはハリヤードが切れて使えない レギュラーを揚げると気持ち艇速が上がった。
周防灘を過ぎて姫島灯台近くで 逆潮に捕まる
天気がよいのが救いで お互いに 居眠りを繰り返しながら 空港沖を過ぎるとホームグラウンドの別府湾
各所に発生した艇体の不安要素も忘れる
好天の別府湾上空には壮大な「いわし雲」
無事 回航を終え別府ヨットハーバーに入港した。
別府湾 ひと安心の永井君 空いっぱいの「いわし雲」
A君の艇は ジョイラック26
フラットで軽い艇体とパワフルなセールエリアのスポーツ艇
T氏の艇のマストをA君の艇に移植をする事に決定
問題は残った艇体だが・・・・
バルクヘッドの接合部をはじめ 補強部分のダメージが多すぎる
エンジンやシャフト ぺラもこのままでは使用に耐えない
外観も全面的なFRPの補修と塗装が必要 経費面から再生を断念する。

永井君:「俺 この艇 好きなんよ」
      彼は 以前同型艇を所有していた事がある ほんの短期間だが・・・・
私   :「この艇を再生するには 同型の中古を買う以上に経費が掛かるぞ」
私   :「外海はつらい艇だけれど 乗りたいんか」
永井君:「うん 好きなんよ」

再生の一番の問題はマストの修理
A君のマストはスプレッダーの下 約10センチの部分で折損
運賃コストを計算すると 地元での修理以外に選択肢は無い
マストの問題を棚上げにして ハルのFRP補修と全面塗装から取りかかる
サンディングしてダメージ部分をそれぞれ積層
タルクパテで修正 ポリパテで細かい傷を隠す
塗装はウレタン塗料で 仲間の自動車工場に調合を依頼する
マスキングをしてスプレーガンで塗装 ウレタンクリアーで仕上げる。

「WK」のオーナーH氏から紹介で マストを大分市内の工場に運搬
工場長と打ち合わせをする
マストと同じ材質のアルミ版でインナーを作りリベットで止める
さらに折損部分を溶接する
納期は指定せずに お願いをする。

マストが解決の方向へと前進したのでエンジンに取りかかる
先ず 自宅倉庫で眠ってる ヤンマー1GMのオーバーホール
このエンジンは佐伯のN先生のYAMAHA30Sから降ろしたもの
ピストンとリング コンロットピンメタル 海水ポンプ シリンダーヘット゛
消耗部品はほぼ交換 噴射ノズルも交換

古いエンジンヤンマーYS8と1GMではシャフトセンターの高さが違うために
エンジンベッドの改修をする
排気ホースの取りまわしやウオーターロックの位置を変更
エンジン排気口を右舷後部に変更
エンジンリモコンは新品に交換 バッテリーケースも新設
古くなった配線ケーブルは全て防爆型に交換。

船体内部の補修に取りかかる
内張りを外しサンディング 船体外板部FRPを積層 折れた補強材を修理
剥離したバルクヘッドを接着 船底部分の補強材は切り取って再度積層
船体後部のバース部分壁部分 船底部分等をFRPマリンペイントで塗装
マリントイレはSL400から電動に交換 スルハルとバルブも交換。

マスト修理の完了は未定だが 船体修理がほぼ完成
船底塗装をして試運転の為に下架をする前日 大変なことを忘れていた
のに気がつく ヤンマーYS8と1GMではシャフトの回転方向が逆だった
プロペラ交換をしなくては成らない
中古のマーテックフォールディングぺラに交換
シャフトもテーパーが違うために この機会に交換 カットレスベアリングも
交換した これですっきり 安心して乗れる。

発注して3ヶ月 やっとマストが修理完了 船体と同じ色で塗装
マスト灯 スプレッダーライトを取り付け ハリヤード類を交換
修理したジブファーラーを取り付る 
サイドステーも新品に交換 マストを立てる
リギンを調整して ウインデックスを取り付けて完成
デッキ上のブロック類も交換
ライフラインを張り替え
JCIの中間検査を受ける

船名は「セーラーズ ムーン」
取り外した ヤンマーYS-8 換装したヤンマー1GMとエンジンベッド
交換したYS用ぺラ バルクヘッドの接着 FRPで積層
マリントイレSL400 電動マリントイレ スルハルも交換
船体外板内部のFRP補修 バルクヘッド下部のFRP補修
エンジンボックス前 船底部分補修 防爆配線へ変更

ライフラインとサイドステーの交換

ジブファーラー再生
システムバングの再生 デッキフィッティングの変更
修理 塗装したマスト Shift! SAILOR’S MOON
ロングクルージングや外洋への航海を想定しなければ
この艇で当分は遊べる フラットな海面ならば ローカルレースも楽しめる
古い艇を再生して新しい仲間とヨットに乗る
ブルーウオーター30からジョイラック26へ
Shift!  SAILOR’S MOON!