第6章 ST4000+のセットアップ

システムをインストールした後、正しく接続されているかチェックし、船の特性に合わせてセットアップする必要がある。
この章の各節には次のような据付後の手続きを記載してある。
6.1 機能テスト
  正しく接続されているかどうかの基本的テストについて述べている。
6.2ラダー位置センサー取り付けられている場合の動作チェック
オプションのラダー位置センサーをつけた場合に必要となる(舵輪駆動のみ対象)
6.3初期海面テスト
この初期海面試験の目的はコンパスを動作させ(そして針路と整合を取る)、オートパイロットの動作とラダーゲインをチェックする
6.4オートパイロットの校正方法
ボートに据え付けたオートパイロットの最適化手続きを述べている
(注)
 この初期海面テストの後に更に細かく調整することができる。これは第7章の「ST4000+の最適化」に記述してある。

6.1機能テスト

電源投入
1. ST4000+を据え付けたら、電源を投入する
2. 制御ユニットが動作して、システムが起動していれば制御ユニットは応答の「ビープ音」を発し、オートパイロットの型に応じて「4000WHL」あるいは「4000TILL」を表示する。
(注意) 舵輪駆動システムの場合
電源投入後1秒間、右舷(starboard)に回頭するように舵輪を駆動する。多少駆動ベルトが磨耗するかもしれないが許容される。

3. オートパイロットの型式を2秒間表示した後、制御ユニットはスタンバイモードの表示をする。(D3567-2)

トラブルシューティング
・ ビープ音が出ないときは、ヒューズ、ブレーカをチェックする
・ 表示に「SEATALK FAIL」が表示されたときは Sea Talk機器との接続をチェックする

オートパイロットの操舵方向
  針路変更のボタンを押した場合あるいはボートがコースを外れた場合に、オートパイロットがどちら方向に操舵しようとするかを示すのが「オートパイロットの操舵方向」である。
  次のようにしてオートパイロットの操舵方向をチェックする。
1. 舵輪駆動:位置決め用の突起にしっかりと嵌まるまでクラッチレバーを時計方向に回し駆動クラッチを噛み合わせる。
舵柄駆動の場合:プッシュロッド端をチラーピンの上に置く。必要なら「-1」「+1」「-10」「+10」のキーを押しプッシュロッドを伸縮させる。
(警告) 舵輪駆動のクラッチ
舵輪の中を通ってではなく、常に外側から舵輪駆動クラッチが操作できねばならない。
(D5341-1)

2.「+10」キーを押す。操舵が右舷(starboard)側に回頭するように動かなければならない
  (D3568-2)

2. もし左舷方向(port)側に回頭するようだと制御ユニット背面の駆動接続配線を逆にする。

接続のチェック
 航行装置とのインターフェイス(GPS, Decca, Loran)
 ST4000+をNMEA航行機器に接続したのであれば、デフォルトのデータページ(XTE, BTW, DTW)を表示させその接続をチェックする。
・ 「disp」を押し、最初のデータページを表示させ、このページに求めるデータがあるかどうかチェックする。
・ 「disp」を再度押し、他のデータページをチェックする。

このとき、数値データの代わりに横線が表示されたとすると、次に述べる幾つかの原因が考えられる。
・ 配線エラー:配線の断線、短絡、逆接続をチェックする。
・ 必要なデータを発信するように航行機器が設定されていない。
・ 受信信号が弱く安定な航行ができない。この場合当該機器の取扱説明書に従い調整する。

風向風速計とのインターフェイス
 ST4000+がNMEAあるいはSeaTalk仕様の風向風速計と接続している場合、その接続を次のようにしてチェックする。
・ 「standby」と「auto」を同時に押す。
・ ST4000+は「ウィンドベーン」モードの画面表示になり、風向角度と針路方向が表示される。(D3565-2)


・ もしST4000+が風向風速データを受信していない時、「NO DATA」を表示する。風向風速計との接続をチェックする。

Sea Talkインターフェイス
 ST4000+と他のSea Talk機器あるいは制御装置を接続している場合、次のようにしてその接続をチェックする。

1. 「standby」を押す
2. Sea Talk機器あるいは制御装置にある表示を表示照度レベル3(LAMP3)に選択する。(D5336-1)

3. ST4000+はこの表示照明切り替えに直ちに応答するはずである。
もし、照明が切り替わらなければSea Talk機器あるいは制御装置とST4000+の間の配線に問題がある。

6.2ラダーセンサーの動作チェック

 (注)
  以下の手続き、舵輪システムにラダー位置センサーを取り付けた場合にのみ必要とされる。
舵輪システムにラダー位置センサーを取り付けた場合、初期海面試験をする前に舵の動作方法を正しく検知し舵と針路とが合致していることを確認する必要がある。

1. 「-10」あるいは「+10」を押して操舵をし、ラダーの位置を示すバーがセンサーアームと同じ方法に動くことをチェックする
  もし、反対方法を表示するのであれば制御ユニットの赤と緑の配線を交換する。
2. これを行った後、「-1」「+1」「-10」「+10」のキーをおして、操舵位置が中央になるように調整する
3. ラダーバーの表示が±7゜以内で中央にあることを確認する。
もし必要であれば次の方法によってラダー角度を±7゜以内に持ってくる。
・ ラダー位置センサーの取り付けボルトを緩める
・ センサーの回転ベースを回してラダー角度が0になるべく近づくように調整する
・ 取り付けボルトを再度しっかりと取り付ける

4. もし、其の差が±7゜以内であれば、ディーラー調整にあるラダー方向調整(ALIGN RUD)により精密に表示と操舵位置を合わせる。

 (注意)
其の差が±7゜を超える場合は(ALIGN RUD)を変更してはならない。

5. ディーラーセットアップにある(RUD LIMIT)により操舵角に制限をかける。
・ 手動で舵を右舷、左舷の限界まで回転させる。両方向に対して、ラダーバーの限界位置角度をラダーバーの表示を元に決定する。
・ (RUD LIMIT)調整画面を開く
・ 機構的な舵の角度限界より少なくとも5゜少なめにオートパイロットの角度限界を設定する。

6.3初期海面テスト

概観
システムが正しく機能すると確認した後、ボートを海に出し試験航海をしてセットアップを完成させる。
・ コンパス偏移の更正
・ 針路の校正
・ オートパイロットの動作チェック
・ ラダーゲインの調整

 (注意)
ST4000+には、ボートに合わせて微調整できるように組み込みの自動校正機能がある。操舵システムおよび其の特性を調整できる。既に工場出荷段階で殆どのボートに合致する様にオートパイロットに調整してあるので、直ちに安全で安定な初期海面試験を実施することができる。
この初期海面試験は次のようなとき実施すべきものである。
・ 据付を終わり機能テストおよびラダーセンサーの調整が終わったとき
・ デフォルトの値を変更する前に実施する、もし、必要なら第7章「ST4000+の調整」に述べる推奨値にリセットする
・ 軽風の穏やかな海面で、波や風に影響されないオートパイロットの性能を評価することができる。
・ 海面は見通しがよく何の障害物もないとき

(注意)
海面試験では常に舵輪駆動クラッチを解除するか、チラー駆動のプッシュロッドをはずし手動操舵に戻ることができる。

EMC対応
海に出る前は、常に、無線送信あるいはエンジン起動によりオートパイロットが影響を受けないよう、据付をチェックしておく必要がある。

コンパス偏移の更正
ボートの種類によっては、磁気偏移は15゜に迫る誤差を生じることがある。この手続きにより誤差を数度以内低減出来るので、初期海面試験の最初に行うべきである。ST4000+は殆ど全ての磁気偏移に対して磁束ゲートコンパスを自動的に更正できる。

(警告)
このコンパス偏移更正がうまくいかなかったとき、ある特定の針路方向に対してオートパイロットの性能が十分発揮できなくなる。

磁気偏移更正手続き(コンパスのスイング)ではボートをゆっくり円を描いて旋回させる必要があり、これによりST4000+は偏移を計算し必要な更正を行う。できれば海が静謐な状況で実施すべきである。

自動コンパス偏移更正方法
1. オートパイロットは「standby」で駆動機構はかみ合っていることを確認
2. 「standby」ボタンを2秒間押し続け表示をユーザーセットアップの入力ページにする(SETUP)
(D3448-2)

(注)もし「CAL LOCK」が表示された場合、ディーラーセットアップの中で更正ロックを解除する必要がある。

3. 「DISP」キーを押し「SWING COMPAS」ページを表示する。
(D3460-2)

4. 「-1」あるいは「+1」キーでセッティングをOFF またはYESに切り替える。「TURN BOAT」ページが現れる。(D3451-2)

5. ボートの速度を2ノット以内に保ちながら、ゆっくりと円を描くように旋回させる。各1回転360゜を回るのに最低3分をかける必要がある。(D3326-2)

もし、ボートを余り早く回しすぎた場合はどうなるか?
オートパイロットが自動更正できないくらい早く回したとすると、「TOO FAST」のメッセージが表示される。旋回半径を大きくしゆっくり回る。
(D3452-2)

途中で中止できるか?
「disp」キーを押し、「DEVIATION」画面から抜け出ることでこのコンパス偏移更正手続きを中止できる。

(注)コンパス偏移更正をやり直したい場合、コンパス偏移更正段階をステップバックするか、「disp」キーを押し続けてオプション校正の選択サイクルに入り再度実行する。
(以前の画面にステップバックするには「disp」キーを1秒間押し続ける。現在の画面が進んでいくまでの2秒間にこれを行わなければならない)
以後、ステップ4の手続きを繰り返す。

6. 制御ユニットがビープ音を発し「DEVIAYION」画面にコンパス偏移更正がうまくできた旨の表示が出るまでボートを旋回させ続ける必要がある。表示は360゜にわたって最大の偏移を示す。(東方偏移、あるいは西方偏移を示すものではない)
(D3458-2)

(注)偏移の値が15゜を越す場合、あるいは、数値を示さない場合、コンパスの取り付け位置もっとよい位置に変更する。
7. 「disp」キーを押し針路更正(ALIGN HDG)ページにする。
(D3459-2)

8. 「-1」「+1」「-10」「+10」のキーを使い表示されて針路がボートのコンパス針路あるいは既にわかっているトランシットの方位に合致するように調整する。
(D3327-2)

9. 「standby」キーを2秒間押し続けることで、更正手続きから抜け出て新しい値が記憶される。

針路更正調整
コンパス偏移更正を終えた後は必ずコンパス針路の確認をする必要が有る。最初のコンパス偏移更正を終えた後では、更正手続きを行わずに針路校正ができる。
コンパス針路更正手続きで殆どの針路誤差が取り除かれると入っても小さな誤差(数度程度の誤差)は多分残存し、これらは針路に依存して変化する。
理想的には、いくつのはっきり分かっている目標に対して針路角度を読んで、偏移曲線を求め、平均的にもっとも少ない誤差になる針路偏差を決定することである。こうして求めた値を針路偏移画面に先に述べた方法で記憶させるとよい。
もし、この平均針路偏移が5゜以上であれば、コンパス偏移更正の手続きを穏やかな海で緩やかに旋回して再度行わなければならない。

オートパイロット動作のチェック方法
コンパスの更正が終わったら、オートパイロットの操作に習熟しなければならない
1. コンパス針路に舵を取り針路を一定に保つ
2. 舵輪駆動の場合:舵輪駆動クラッチを固定する。チラー駆動の場合:チラーピンの上にプッシュロッドを載せる
3. 「auto」を押し、現在の針路に固定する。平穏な海面であればオートパイロットは一定の針路を保つはずである。
4. 「-1」「+1」「-10」「+10」のキーを使い、1゜あるいは10゜の倍数に応じてオートパイロットが右舷あるいは左舷方向に針路を変更することを確認する。
5. 「standby」を押し、オートパイロットをはずし、手動操舵に戻る。
・ 舵輪駆動の場合:舵輪駆動クラッチレバーを反時計方向に回してはずす。
・ チラー駆動の場合:駆動ユニットをチラーピンからとりはずす。(もし、必要ならプッシュロッドを「-1」「+1」「-10」「+10」のキーを使い引き込める。)

ラダーゲインのチェック
工場出荷時のラダーゲインは、初期海面テストに対して安定に動作するように設定してある。しかしながら、ボートの操舵特性は様々であるので、オートパイロットの特性をより良いものにするにラダーゲインを調整する。
次のテストをすることで、ラダーゲインが大きすぎるか、小さすぎるかを決めることができる。
1. 平穏な海をクルージングスピードで走らせる。
波によって基本的な操舵特性が損なわれないような静かな海況では舵操作にたいする応答特性を簡単に見出すことができる。

2. オートパイロットを「auto」にし、「+10」あるいは「-10」のキーを4回押すことで40゜の針路変更を行う。
・ もしラダーゲインが適切であれば、40゜の針路変更はオーバーシュートが5゜以内の鋭い変針を示すであろう。
・ ラダーゲインが大きすぎると、オーバーシュートは5゜以上の明確なオーバーシュートを示すであろう(A)。このオーバーシュートはラダーゲインを下げることで修正できる。
・ ラダーゲインが小さすぎるときは、針路変更特性は間延びしたものになる。40゜の針路変更に時間がかかり、オーバーシュートは見られない(B)。ラダーゲインを上げることでこの操舵不足を修正することができる。(D3262-2)

3. 一時的なラダーゲインに変更を行うには
・ 「-1」と「+1」のキーを1秒間同時に押すと、ラダーゲインの表示(RUDD GAIN)が画面に出る。
・ 「-1」あるいは「+1」のキーでレベルを変える。
・ 「disp」を押すか、以前の画面戻るまで5秒間待つと一時的な変更ができる。

4. このテストを鋭い変針をしながらも5゜以内のオーバーシュートに収まるように繰り返す。
5. 適切なセッティングが決まったら、ディーラーセットアップにより、ラダーゲインの変更を固定する。

6.4オートパイロットの校正方法

殆どのボートに対して適切な操舵特性が得られるように工場出荷時には設定されている。据付後の調整を行ってもなお問題があるようであれば、次の6つのステップを実行して個別のボートを最適化できる。

ステップ1 補助装置の電源を入れる
対地速度(SOG)や緯度データ(LAD)を出力するGPSや、対水速度を示すログメータなどの補助装置の電源が入っていることを確認する。

ステップ2 初期設定を適用する。
ディーラーセットアップモードに入り、次の初期設定値を入力する。
(tab98)

ステップ3 ラダーダンピングの調整
ラダー位置センサーを舵輪駆動オートパイロットに取り付けている場合、ラダーダンピングを調整する。ポンツーンに繋留されているときにラダーダンピングをチェックする。
・ 「auto」を押しついで「+10」を押す。
・ 舵がオーバーシュートし戻ってくるか、行ったり来たりを繰り返すようであればダンピングレベルを増加する
・ 一時に1レベルだけ変え、常に受容できる最も小さいから適用していく。

ステップ4 ラダーゲインの調整
前に述べたラダーゲインの調整を行う。

ステップ5 オートトリムセットの調整
ボートのトリムが変わったり、海況が変化した場合、ボートは針路を変える。オートパイロットは直ちにこれを元に戻すように動作する。しかしながら、ボートがコースに保つに足る操舵量を常に十分に与えることは難しい。数分程度の擾乱期間に対しては、オートトリム機能によりコースを保つに必要な操舵量を増加させることができる。
オートトリムレベルを増加すると定められたコースに戻るまでの時間が減少する。しかし、高すぎると既定コースの中心にして周りを蛇行する。
オートトリムを設定する前にオートパイロットに習熟することが必要である。ヨットの場合、帆走しなければオートトリムの効果を評価できない。
設定を変える必要があるときは、オートトリムのレベルを一時に一つずつ増加させ、許容できる最小の値を適用する。
・ オートトリムレベルを下げるのは、既定のコース維持できないかあるいは、其のコースを中心にして周りを蛇行する場合である。
・ オートトリムレベルを上げるのは、長い間既定のコースから外れてしまう場合である。

ステップ6 更に進んだ調整
いくつもの海況下で異なった針路に対してこれらの調整を繰り返すことで、トータルとして良好な全体性能が得られる。

第7章ST4000+の最適化

ST4000+の更正機能によりコントロールユニット、コンパスおよびオートパイロットシステムのセッティングを調整することができる。ST4000+は殆どのボートが初期海面試験をするのに必要な機能を有するように製造段階で予め調整されている。一旦、最初の据付と海面試験を終えると、通常ディーラーが設定した値を変更する必要はない。しかしながら、状況が変化した場合これらの設定を変更することもありえる。
(注)何らかのセッティングの校正をする前に、第6章の「ST4000+のセットアップ」に詳述する手順を完成しておく必要がある。
この章では次の二つのレベルのセットアップについて述べている。
7.1ユーザーセットアップ
  コンパスのセットアップとST40006+の表示について述べている。
7.2ディーラーセットアップ
  主なオートパイロットのセットアップと校正ロックについて述べている。

セットアップモードへの入り方
(D5335-1)

(注)ソフトウエアのバージョン画面については英文マニュアルp40を参照のこと

7.1ユーザーセットアップ

ユーザーセットアップでは、オートパイロットの針路校正、ST4000+の表示画面に現れるバーグラフの形式の選択、および、データページに見える情報の制御ができる。
次のフローチャートにどのようにしてユーザーセットアップに入るか、セットアップ画面をスクロールするか、値を調整し、抜け出るかを示している。
・ 「standby」モードからユーザーセットアップに入る。
・ もし「CAL LOCK」が初期画面の代わりに表示されて時、ディーラーセットアップに入って校正ロックを解除しなければならない。
・ ST4000+は、ユーザーセットアップから抜け出たときに新しい設定値を記憶する。

コンパス偏移更正(Swing Compass)
磁界によるコンパス偏移を更正する。この項目は最初の海面試験において最初にしなければならない。

偏移表示(DEVIATION)
コンパス偏移更正の手続きにより計算された現在の偏移量を表示する。この値を変えてはならない。

針路校正(ALIGN HDG)
船のコンパスとオートパイロットのコンパスの針路を整合させる。
・ 予め方位のわかっている方向に走らせる
・ 表示されて方位を「-1」「+1」「-10」「+10」のキーを使って調整する
・ いくつかの方向に対してチェックし、必要なら変更を加える。

針路表示モード(HDG MAG/TRU)
磁針路を示すか真針路示すか選択できる。通常の操作で表示する針路には、磁針路か真針路かを表示している。
(D3341-2)

バー形式の選択(RUDD BAR/STEER BAR/NO BAR)
画面に表示するバーグラフの形を選択できる。
・ 操舵バー:ディフォルトの設定である。いくつかの操作モードで異なる情報をこのバーグラフを用いて行っている。
(tab104-1)

・ 舵バー:これは舵の位置を示す。舵角センサーを備えている場合、「standby」および「auto」モードにおいて真の舵角を表示する。

データページ(DATA PAGE)
次の7つのユーザーセットアップ画面でデータページの設定の値を変更することができる。これらはSeaTalk/NMEAのデータベージを示し、通常の運用時に見ることができる。各セットアップベージは、その最初にタイトルであるDATA PAGEが現れる。1秒後に、現在設定されたベージのタイトルに変わる。デフォルトの値は次の通りである。
(tab104-2)

(注)BTWとDTWを表示させ続けることはよい訓練になる。もし、オートパイロットが落水者の(MOB)信号を受け取ったとき、このデータベージはMOBの位置に対する方位と距離を表示する。

表示されたデータの変更
・ 「disp」を押し、データページセットアップ画面を動かす。
・ 各値を変えるには「-1」「+1」キーでデータページ内を前後にスクロールする。(次の表を参照)
・ 「disp」を押し、次のデータページに入るか、「standby」を2秒間押して、操作を終了して変更を記憶させる。

(tab105)

(注)3つの深度を示すページ(メートル、フィート、ファトム)と2つの水温を示すページ(C゜F゜)がある。ST4000+は選択されてページに定義されている単位を使って深度および水温を表示している。

7.2ディーラーセットアップ

ディーラーセットアップにより、船に合わせてオートパイロットを調整できる。しかしながら、工場出荷時のディフォルトのセッティングで殆どのボートの初期海面試験を実施することができるはずで、通常これ以上の微調整は必要でない。
次のフローチャートはどのようにしてディーラーセットアップに入り、セットアップの表示を変え、調整し終了するかを示してる。
・ 「standby」モードからディーラーセットアップに入る
・ ST4000+はディーラーセットアップが終了したときに新しい設定値を読み込む

以下の説明は各ディーラーセットアップ画面の詳細を説明している。次の表は変更できるセッティングの一覧を示しており、設定を変更したときはこの表に記録することを勧める。
(tab106)

(D5333-1)

校正ロック(CAL LOCK)
校正ロックはユーザーセットアップに入れるか、あるいはソフトウェアのバージョンを表示させるかどうかをコントロールしている。これは、チャーターボート対応である。

パイロットタイプ(4000WHL/TILL)
舵輪駆動システムでは4000WHLがディフォルトで設定されており、チラー駆動では4000 TILLが設定されてる。

ラダーゲイン(RUDD GAIN)
電源投入時ラダーゲインの値である。前に述べた方法により最適な操舵性能を発揮できるように調整する。また、通常の運用時に一時的にこの値を変更することもできる。(英文マニュアルP13)

レスポンスレベル(RESPONSE)
電源投入時のレスポンス設定を示す。通常運用時に一時的に変更することができる。(英文マニュアルp12)

回転制限(TURN RATE)
オートパイロットの制御で船を旋回するときの角度制限を示す。5゜から40゜以内にしなければならない

針路校正(ALIGN RUD)
舵輪駆動オートパイロットシステムにラダー位置センサーを取り付けた場合に、このオプションを設定する。
1. ヘルムを中央にとる。
2. 表示が面下のバーグラフはラダー位置センサーからの舵角を表示している。
  「-1」「+1」キーを使ってオフセットを調整しラダーグラフのバーがセンターを示すようにする。
(注)このオフセットは-7゜から+7゜の間になければならない。もし、このオフセットが余り大きすぎると、ラダー位置センサーの中心出しをしなけばならない。この後上記の1.、2.の手順を繰り返す。

舵角制限(RUD LIMT)
オートパイロットが駆動する操舵角度が機構的な制限値の少し内側になるような制限値を示す。これは、操舵装置に不必要な荷重をかけることを防ぐ目的で設定する。調整範囲は15゜から40゜の範囲である。
もし、ラダー位置センサーを備えている場合、次のようにして値を設定する。
1. 手動で舵を各方向の停止位置まで動かす(左舷、右舷とも):両方向に対してラダー位置バーを使い、末端位置を決める。
2. 舵角制限画面(RUD LIMT)にはいる。
3. 機構的な舵の末端位置より少なくとも5゜内側に舵角制限位置をセットする。

針路はずれ警告(OFF COURSE)
オートパイロットが定められた針路を維持できないときに警告を発する機能を制御する。針路をここで定める値以上に20秒間以上外れたときに警告を発する。この値は15゜から40゜の範囲で1゜刻みで設定できる。
(D3264-2)

オートタック角度(AUTOTACK)
自動タックをするときの角度を示す。この値は40゜から125゜の間で1゜刻みで設定できる。

オートトリム(AUTOTRIM)
風圧の変化や上部構造物の変化によりトリムが変化したのを補正する割合を設定する。設定可能な値は次の通りである。
(tab110)

ディフォルトはレベル3で、ST4000+の最適な性能を得られる。しかしながら、ボートのダイナミックな安定度によっては、不適切なトリムの適用によりコースを維持的なくなったり、オートパイロットの動作が不安定になる恐れがある。十分ST4000+に習熟した後、この設定を変えるほうがよい。
ヨットの場合、帆走してこの設定の妥当性の評価をしなければならない。
・ もし、既定針路の中心の周りを蛇行する様な不安定を示すようなら値を減少させる。
・ 長時間にわたり進路を外れたままになるなら値を増加させる。

駆動タイプ(DRIVE TYP)
オートパイロットが駆動する。操舵システムのタイプを既定する。メカニカル駆動のボートではディフォルトの(DRIVE TYP1)が設定されている。

磁気偏移(VARIATION)
必要なら、現在位置における磁気偏移大きさを設定する。東方偏移は(E)、西方偏移は(W)で示す。ST4000+はSeaTalkを介して、この偏移でデータを他の機器に配信している。更に、この値は他のSeaTalk機器により更新される。

高緯度補正(AUTOADAPT)
特許を取得している高緯度補正機能によりST4000+は地磁気の吸収落ち込みの増加にによって齎される極地方に発生する針路誤差を補正している。
北半球の極地方では地磁気が集中して磁極に落ち込むことにより舵の応答が北向きに走るときに過剰になる。南半球では南向きに走るときに過剰応答をする。
(D3263-2)

1. 高緯度補正を次のようにセットする。
・ 北半球では「nth」(north)を
・ 南半球では「Sth」(south)を

2. 現在の緯度を次の(LATITUDE)画面に入力する必要がある。これにより針路に応じてST4000+ラダーゲインを自動的に調整して正しい針路を保つことができる。

緯度(LATITUDE)
ST4000+は高緯度補正機能に「nth」あるいは「Sth」を設定したとき、この項目を表示する。「-1」「+1」キーを使って現在の緯度を最も近い度単位で入力する。
(注)もし、他のSeaTalk機器やNMEA機器から緯度データが取り込める場合これらを使用する。

ラダーダンピング(RUDD DAMP)
ラダー位置センサーを取り付けた場合で、且つ、操舵するとハンチングを発生する場合に、この値を設定する。ダンピングを増加させるとハンチングが減少する。
ボートが繋留されているときにラダーダンピングをチェックする。
・ 「auto」を押しついで、「+10」を押する
・ 舵がオーバーシュートをした後に舵が戻るか、あるいはハンチングを開始する場合、ダンピングレベルを増加する。
・ ダンピングレベルは一時に一つずつ動かし、常に許容される最も小さいから適用する。

航行速度(CRUSE SP)
代表的な航行速度を設定する。他のSeaTalk機器やNMEA機器からの対水速度と対地速度がともに使えないとき、オートパイロットはこの値を針路変更を計算するのに使用する。

(tab113)

(D3242-2)

(D5436-1)

(5370-2)

(tab115)

(tab116)