風来末 in シンガポール

今回の旅は1,000マイルほど有るとはいえ、風も潮も良くて、とっても楽な旅が出来た。本当は,ジャカルタ近くでもっと岸近くを走りたかったが、やはり危ないことは避けなければ!!
今回は、余り航海には関係の無いことを書いてみよう。

インドネシアもシンガポールも、海(港の中)はとっても汚い! もの凄く汚い。それと言うのも人々は海は「ゴミ溜め」と思っている所がある。特にインドネシアは陸地もゴミだらけだ。シンガポールではゴミを棄てたり、ガムを吐いたりすると罰金らしいが、町の中はゴミも無く確かにきれいだが、その位は日本でも同じ様に見える。しかし、人が見ていない所や、道路の植込みの中はゴミだらけ、ましてや海はもっとゴミだらけで、人々は人が見ていようが、見られていようがお構いなし平気で全てを棄てるのだ。
このマリーナのすぐ横に港湾労働者を乗せて、往き復す水上タクシー乗り場があり、1日に1000〜1500人ほどの労働者が24時間往き復す。そして各自手に持った弁当(屋台で買ってくる)を持っている。ブルー、白、オレンジ色などのスーパーの袋の小振りのやつに発泡スチロールの弁当箱とたれなどが入った金魚掬いの時にひもの付いたビニール袋をほぼ全員が手に手に持っているのだが,これを全て海に棄てるのだ。私が舫っている前の釣り船のおじさんや、地元のダイバーたちや、釣り人達も、私の目も前で棄てる。袋の中身を逆さまにし、その後その袋も棄てる。従って、マリーナの中は至る所ありとあらゆるゴミが浮いている。マリーナのスタッフは大きな網を持って掃除はしているのだがとても追いつくものではない。海に棄てても刑罰はないのだろうか。

この国では刑罰の中に「ムチ打ちの刑」と言うのが有り、新聞を見ると懲役10年ムチ打ち6回とか、5年と4回とか書いてあるのを見かける。「ムチ打ちの刑」はもっとも重い刑らしく、これを10回も食らうと死に至るらしい。海にビニール袋を棄てたやつらも1回ずつムチ打ちして欲しくなる。しかし、このシンガポールは東京都と同じくらい、淡路島と同じくらいの面積に430万人が住んでいる大都会で、人種は、華人、マレー系、インド系などの多民族国家で地下鉄の案内は、マレー語、英語、北京語、タミール語の4ヶ国語で表示や案内放送がある。そして、紙幣には、首相のリー・シェンロンが載っている。リー・シェンロンは3代目で建国の父と言われた初代首相リー・クワアンューの息子、そして2代目ゴン・チョトクは彼の叔父にあたり、事実上の世襲支配で、政治経済マスコミなどあらゆる政府機関を牛耳っていて、まさに「明るい北朝鮮」と言った所だ。だが、北朝鮮と違うところは彼ら一族がとても優れた考えを持っていると言うことかも? リー・シェンロン、ケンブリッジのコンピュータ工学位を持ち、ハーバード大学で行政学なども学び、親子2代でこのシンガポール株式会社を作ってきた訳で,その手腕は大いに日本国家も学ぶべきところが多くありそう。
その一つの税制をとっても、この国では法人税20%だ。日本は40%。これでは国際競争に勝つはずが無い。そしてこの国は地の利を生かして全てのハブになろうとしているようだ。私のお粗末な政治事はその位にして街の様子を伝えよう。

街は正に摩天楼で、夜遅くまで賑わう。夜遅くても(12時頃)比較的安全で東京を歩くより安全かも? そして日本のものはほぼ何でも手に入る。高島屋、伊勢丹、明治屋、紀伊国屋、ベスト電器などは3店も4店も有る。駅ビルや大きな建築は日本の建設会社五洋建設、大成建設などが目に付いた。高島屋3Fにある紀伊国屋書店、アジア最大の売り場面積を持つと言われるだけあり、驚くほど広い。日本書の売り場だけで大分王子町の明林堂の1.5倍位はありそう。そして英国、中国、インド、アラブ系とそれぞれ同じ広さの各コーナーを持ち、しかも全て世界同日発売と言うから驚きだ。しかし、日本書は高い2倍〜2.5倍はする.文藝春秋買いたかったのだが、1,800円もする。阿呆らしくて買う気になれない。だが、読みたい。3時間位立ち読みをして、7割方読んだ。夜は焼き鳥屋「南蛮亭」へ。ちょっと高めだが,ビールに焼酎1本頂いて、15,000円と言ったところで、ここの店長、田中さん(60歳)世界各地で働いた経験を持ち、楽しい時間を持つことが出来た。

それはそうと、ここを11月13日に出港して、タイランドのプーケットへ向かう事になった。前号で紹介したバリの島毛さんの勧めで、日本から「ラッキーレディ」の面々がキングスカップに出る為にやってくるそうで、私も忙しくなる。
プーケットのマリーナの予約、荷物を降ろす倉庫の手配、船底の掃除、レースのエントリー等など。毎日の様にマリーナホテル内に有るインターネット室へ通う。このホテルはインターネットは無料で使うことが出来るのでとても助かる。そのほか色々な施設がクラブ会員と同じ待遇で使え、プールへは毎日通っている。さすが赤道直下、毎日暑いので毎日プールに行っても、首の周りや背中に汗疹がいっぱいできる。薬局に行ったのだが、漢方薬が多くあまり良く分からない。そしてちょっと怪しいので,薬を買うのを止めて、代わりにビールを10ケースと焼酎1升買い、ビールで体を冷やすことにした。お酒はとっても高い、ビールは3.25〜3.50$(270〜280円)日本酒や焼酎はアルコール度数に量を加えた数え方をして、日本酒は日本と同じ位か、高級酒はかえって安い位、焼酎は度数が高いので高額で普通の霧島が69.9$(5,600円)ゴードン・ジンが50$(4,000円)もするので、度数の高いお酒は呑めない。今の所ビールが殆どだがそれでも暑いせいもあるが酒代が船の軽油代を上回る始末だ。

次号、プーケット キングスカップに 乞うご期待!!

キングスカップレース12月1日〜8日

記 11月5日

追伸
今、目の前に190ftの鋼船、3本マストの「GREEN PEACE」(グリーンピース)の船「RAINBOW WARRIOR」(レイボウーウォーリア)が舫っています。
独り言「レンボーゥォーリア? 虹の戦士? 七色の?」・・・・

「七人の侍」か?