遠い岬

「タック!」
石廊崎に取り付いて二時間近く格闘しているがタックの度に海岸の岩が一つ後方に移動するだけ
沖だしで半島を離れ神子元島にコースを取る
朝方から続く東北東の風で波高はさらに高くなる パンチングの度にドジャーを超える波
リーフし尽くしたヘッドセールで機帆走も限界が近い
「あきらめましょう ベアーして半島のブランケに逃げましょう」
風速計のTRUE表示が40オーバーをコンスタントに示す
「西伊豆の安良里に逃げましょうか?」
『手前の妻良漁港が近いので 入って見ましょうか?』
「了解です」
『Cmapでナビします』
三っ石岬を大きく迂回 妻良へ入港 取り合えず荷揚岸壁に繋留
11月29日14:00 22時間振りにレインギャを脱ぎ Jeanneau34.2のラットをロックする
食堂にたどり着き一昼夜ぶりの温かい食事と生ビールで敗北感と虚脱感を和らげる
「今夜は民宿でゆっくりしましょう 明日も今日の風でしょうね?」

「アスターン!」

デプスメーターのアラームが気ぜわしく鳴る
デジタル表示は2.6m

11月22日 07:00 別府新若草漁港を出航
最短コースで松山三津浜へと走る
伊予灘の波は悪い
機走に切り替える 3GM−30F 2200rpm
対水6.4knt 対地4.6knt
17:00 灯火点灯 松山本港入港
泊地を探して港奥まで入る
停泊中の病院船も舫いは不可
日没後の北風は次第に堪えてくる
《うなぎの寝床》三津浜漁港へとラットを回す
フェリー乗り場を過ぎたところでアラームが鳴る
デッドスローで干潮の港奥へとバースを探す
行き止まりでターンし小型バージに横付け
フェンダーを効かしスプリングを取る
「お疲れ様!とにかく風呂と飯に行きましょうよ」
伊予鉄三津浜駅近くでTAXIをゲット
案内をお願いした銭湯で悴んだ手足を伸ばす
食事を済まして伊予鉄に乗り艇に戻る
「明日は明るくなってから出航ですね」
21:00 NHK ニュースと天気予報
≪そうだ 今日は 良い夫婦の日だよな≫
彼女に電話しよう!

『三浦半島です』
「何処まで回航ですか?」
『三浦半島の浦賀ですよ』

久しぶりの関東回航になる
思い出に残る回航は多くあるが 朝靄の中に聳える神子元の強烈な光景は特に忘れ難い

近年 回航は西山氏に依頼してきたが 今回は他の回航スケジュールとWってしまう
『必要な整備も任せます 回航スケジュールも任せます 安全第一でお願いします』
初対面の新オーナーは丁寧に依頼し午後のエアーで帰京
今後はメールでの打合せと報告
艇の準備も進み 出航が近付くとオーナーからの追加作業の依頼
完全に冬型の気圧配置になる前の出航をと焦る
『チャートと港湾案内はどの程度持参する?』
「串本〜浦賀でOKですよ 紙のチャートは不要ですね」
『ノートのバックアップは持ち込みますか?』
「帰路は身軽にしましょう VAIOと新設のHONDEXでOKです」
VAIOにはCmap+NMEA
HONDEXのチャート 特に等深線は充実している
簡単な工具セット レインギヤ ジャケット二種類 ハーネス二本 防寒着各種 下着多数
薬品類 航海の友ラジオ
食料はパンと少量のレトルト麺 日数分のスープ各種
日中は簡単メニュー 入港後にエネルギー補給
過去串本以東 熊野灘 遠州灘で調理出来た経験は無い 夜走りはスープとパン
「末岡さん 明日は06:00の出航で行きますか?」



『コーヒーorスープ』
日没は早く 日の出は遅い 
起床05:00 出航06:00
瀬戸内を飛ばして距離を稼ぎたい
高知沖経由串本VS瀬戸内経由串本の距離比較差は10海里程度
高知沖航路は黒潮効果が期待できるがオーバーナイトが必然
瀬戸内航路は決して危険ではなく、夜走りの必要も無い
体力の温存と 艇と人のシェイクダウン

「両方お願いします」
『今朝のスープはビーフコンソメですよ』
起床と洗顔 コーヒーとスープ
レインギヤとハーネスをセットアップ 
11月23日06:30 舫いを解く
デッドスローで三津浜港奥から松山港口へ
朝凪の堀江湾でオートヘルムの調整
マニュアル片手に数種類の組み合わせをトライ
凪ぎのセットアップがラフな海面で通用するとは思えないが
取り合えずOK
「北条沖から最短距離で波方町北端 大角鼻へ
来島航路を横断 大島北から宮窪へ
汐に乗って船折瀬戸を通過コースで行きますよ」
『問題は宮窪出口ですね』
風は北東 水深の浅い出口で汐と風がぶつかる
出口のパンチングを避けて南東へ走り落ち着いたところで転針
燧灘で本船航路東行南端をひたすら機走
適当に交互にワッチ交代
塩飽諸島で瀬戸大橋を視認
「今夜の宿は何処にしますかね?」
『本島か与島 丸亀もOKですが補給が不可ですね』
「日没後の高松で 讃岐うどんと行きますか?』
こんな期待は めったに叶えられないのが回航です

小槌島北で航路を外し高松へ転針
チャートテーブルで末岡氏はCmap+HONDEX ナビゲーション
水深15mライン 対地5knt
陸岸沿いにオレンジの灯火がほぼ等間隔に点滅
工事ブイにしては距離が長い 定置網にしても長すぎる
安全な距離を確保して高松ヨットハーバーの入り口を探す
オレンジ灯火に接近する
長いのり網の列が陸に沿って設置している
グリーンの仄かな点滅を発見
タイムリーに漁船が前を走る これは ラッキー
ヨットハーバー西の漁港に入港
ガソリンスタンド裏の給油桟橋に繋留
この桟橋 夜間はゲートは閉鎖
スターンの舫いを桟橋に残しゲートを避けて岸にバウを舫う
銭湯で手足を伸ばし 夕食
22:00のニュースを聞いて 眠りに落ちる

「対地は?」
『2knt!』
転流時が過ぎても汐がきつい
目の前の鳴門大橋が遠い

11月24日 06:00 出航
鳴門海峡の転流には余裕のある航程
屋島北端長崎の鼻から大島南で針路を東にセット
半島を過ぎると風は今日も東 不規則で落ち着かない波
タックして小豆島内海湾へ
播磨灘を渡って来た東風と西に流れる汐でログが伸びない
四国側にタック コース東南東
次第に海面が落ち着く
ハーネスを外してワッチオフ
コーヒーとスープ バナナで10時のお茶休み
『東ですね(風は) 何処に行きましょうね?』
「マリーナシティーと白浜はきつい 今日はケンチョピアに早めに入って
補給と休養ですね」
13:00 余裕の航程も波と風には逆らえない
鳴門海峡に近付き 海面を観察
観潮船が渦潮を追ってせわしく移動する
比較的静かに見えた大橋北からアプローチする
フルパワーのスロットルで対地2knt
大橋を通過直後に渦潮に巻かれ南に引っ張られる
バウは北に向け汐に流される
汐の影響が落ちた所で北東にコースを取って振り返る
大橋の南端まで流された やはりここはキツイ
本船航路で徳島へ向かう
吉野川河口の砂洲はかなり沖まで伸びている
予報どうりに雨が降り出した
15:00 徳島港航路ブイ
長い沖防波堤北から入港 フェリー乗り場を通過 末広大橋中央を通過
徳島県庁が見えてくる
繋留場所はやはり「げんよう」さんの隣が確実
16:00 舫いを取り終えると雨足が激しくなった
予備燃料 ポリ缶4本/72Lの配達を目の前のスタンドに依頼
下船準備=風呂道具+着替え
銭湯でさっぱりして 紺屋町で夕食と生ビール
徳島ギャルの言葉は柔らかく 優しい。


「2ポンで行きます」
『OK!ハリヤード引きます!』
「メイン上りました ストッパーお願いします」
『メインシート 出します!』
「バングを引いてください OKです」

11月25日 07:00 徳島港外
北東の風 20knt 紀伊水道を斜め横切り日ノ碕から白浜のコース
海面が静かな内に一仕事
コンパスライトが点灯しない
取り外してみると配線がラットのギヤに巻き込こまれて切断
持参した配線キットで修復
風は北に振れる 波高3m 対地6.6knt
2ポンメインで正解だった
ローリングを繰り返しながらワッチオフでキャビンに転がる
御坊沖で紀伊半島の風下に入ると格段に波は静まる
艇速も上る ワッチ交代で末岡氏の美味しいコーヒーが香る
ジャイブを繰り返し潮岬へ
17:00 潮岬灯台の灯火を確認 メインセールを下ろす
暗くなるにつれて 灯台周辺に漁船の灯火が群がる
岬を交わして北上する本船は漁船団の近くを通過し転針
ナイトモードでナビゲーションの末岡氏がコース指示
『もう直ぐ水深が急に上るよ50mライン!』
数分後 艇は急激に激しい潮目に突っ込んだ
紀伊水道の潮と黒潮がぶつかり 急な坂を転げる感覚で谷間に落ちる
ハーネスの効果は確実に有る
波の方向に艇を建て直し 機走で乗り切る
ナビゲーターの指示でコース変更 くしもと大橋から入港
中央桟橋に繋留
「お疲れでした! 風呂と飯を探して 早く寝ましょうね」
『コインランドリーですよ 風呂の間に』
桟橋前のスタンド予備燃料の補給
「明日はオーバーナイトです 休みましょう」
 
 

『マック?』
「きっと有りますよ 久しぶりに街のモーニングです」
紀勢線尾鷲駅を越えると国道42号に出る
ホームセンターをメインのモールの中に やはりマックは有った
「マックモーニングで じっくり 今日の作戦を考えましょう」

11月27日 02:00 予定外の尾鷲入港
夜間 航路ブイと灯火を頼りの尾鷲入港はお勧め出来ない
今回は過去の記憶とCmap+HONDEX 特級航海士=末岡
そして 疲れ果てて入港を焦るスキッパーのチームワーク
青灯台から入港し港内北の漁船溜りを物色
隣接の荷揚げ場にもベターなバーススペースは見当たらない
中央部桟橋北側に巡視船《すずか》が停泊  南側にタグ
タグの前側スペースに滑り込み繋留 オイルスキンを脱ぎ捨てて
バースに転がるが 昨日の記憶ですっきりと眠れない。

11月26日 05:00 起床 洗顔 スープとパンのモーニング
今日はオーバーナイトで下田を狙いたい
気合を入れてジャケット装着 デッキに上がり出航準備
「なんだ コリャ?!」
左舷デッキに真っ黒いイカスミがべっとり
ルアーで釣り上げた藻イカを意図的に艇の上でスミ吐かせている
これは事故ではない 私も藻イカ釣りでは人後に落ちない
残念な串本になってしまった
許しがたい。
海水を汲み上げての掃除で一時間
06:30 入港針路で出航
大島東端から真東に乗り出す
黒潮に乗れば 下田も近い
北東の風は時間とともに風力を増してきた リーフしたヘッドとエンジンで
対地は4knt〜5knt 黒潮に乗れない
「これでは届きません 戻って尾鷲に入りましょう」
14:00 ジャイブした時に オートヘルムがトラブル
内部が引っかかり異音がでる ラットがスムーズに回せない
工具を引っ張り出すが 想定外の場所で工具がない
針路保持をお願いして 破損したパーツを ほじくり出す
長い 手引きの夜が始まった
満月に近い月が 黒々と熊野の山並みを照らす
尾鷲の灯台も見えてきた
末岡氏のナビゲートは頼りに成る 特級航海士だ。


予定外の尾鷲入港だが いい事もある
マックのコーヒーを飲める
気分転換と休養
ロングの航海は気力と体力の両方を要求する
今日の出航は取りやめて艇のメンテと人間のメンテ

ホームセンター往復1回目=マックモーニング
    同       2回目=ラット取外し用 6角レンチ購入
    同       3回目=トリル刃購入ボルト購入
    同       4回目=昼食 どんぶり屋
    同       5回目=飲料 食料の調達
往復30分 往きは上りです
18:00 港近くで中華の夕食
「今日は気分が乗りません 止めませんか?」
『そんなときは止めた方が良いでしょう』
「今夜は温泉に入ってゆっくりしましょうよ」
世界遺産 熊野古道案内所 お勧めの
熊野深層水温泉 夢古道の湯 往復はTAXI
入浴料 65歳以上500円 私は1000円
隣接の休憩所は古民家を移設したもの
湯上りのビールも旨い。
    

『蛇行です』
「黒潮はそんなに大きく蛇行ですか?」
『その影響で熊野灘遠州灘すべて反流2kntから3kntです』
尾鷲海上保安部で情報を仕入れた末岡氏
黒潮の予想 波と風の予想 台風情報をNetで分析
『反流の滞る場所を拾って行きましょう 風は北です』
「御前崎 最悪浜名湖 岸近くを走ります」

11月28日 05:00 尾鷲出港
一日の休養で気合も戻った
大王崎の浅瀬を避けて沖だしで走る
伊勢湾から北の吹き出しが強まりヘッドセールをリーフ
対水6.7knt 対地5.2knt
波高はやがて高まりオンコースでの走りが苦しい
ドジャーを超えてくる波で 目が痛い
コースをアビームよりも落とし沖に出す
左舷後方からの波は目線よりかなり高くなる
ローリングとサーフィング 艇速は上るが浜名湖は遠くなった
ワッチオフでメインサロンのバースに転がった相方が
フロアへ転がり やがて あきらめた
日没 そして御前崎灯台の点滅
北風は次第に弱まり 波高も下がる
「御前崎で01:00ですね」
交代しバースで仮眠

立て続けに強烈なパンチング
レインギヤでデッキに出る
『交代して間もなく ザーと雨が来ましたヨ それから この吹き出しです』
前線通過で東の吹き出し 《なんと楽しい回航でしょうネ》
ストーム程度に巻いたヘッドとエンジンでは 乗り切れない
本船航路まで下ってタック 駿河湾に避難するコース
02:00 予定どうり リーショアの御前崎
入港コースでナビゲーションの末岡氏は不安を告げる
暗礁が点在しコース幅も狭い 水深は浅く風下で波高は高い
選択は入港Or駿河湾奥
御前崎航路ブイ近くでタック 沖だし
夜間 リーショア 波浪 これだけ揃えば 度胸と運では 進めない
《度胸なんて ありませ〜ん》
04:00 吹き出しが落ち着き 波も静まる
ナイトの疲れでオフの彼はバースで休む
残った波のパンチングを避けて 伊豆半島西岸へ機走
この時間帯 ワッチには魔の時間帯
時化のリバウンドも有ったと思いますね
オートに任せて 気がつくと一時間 居眠り
《いけない いけない》 タックして さらに一時間 うとうとタイム
相方が起きて来た
「いやー おはようございます ハハハワハハ 良く眠りましたヨ」
『日の出前ですね 
コーヒーとパンですね 今朝は』
「石廊崎で10:00ですか? 昼飯は金目ですな」
甘い期待は やはり破られる
再びの吹き出し 風向は東
11月29日 08:00 石廊崎西方9nm。




【ストームと2ポン 腕に自信が有ればね】
「妻良は半島の裏 吹き下ろしで18〜20knt 様子を尋ねてよ?」
西山君は下田ボートサービスの伊藤氏に状況を相談した
《ストームは無いし 自信は さらさらありませ〜ん↓》

昼食後 お店のご主人に民宿を教わる
妻良は伊豆半島西端の部落 もともとは漁業の村と推察できる
漁をリタイヤした人や兼業での民宿が多い
港に近い民宿のチャイムを鳴らして宿泊をお願いする
艇の繋留を相談すると 早速手配 観光船に横抱きOK
汐の滴るウェアーを持ち込み部屋のエアコンで乾燥
7時の夕食をお願いし 風呂を頂く 久しぶりの畳は有りがたい
横になった彼のイビキを聞くのに時間はいらない
尾鷲から34時間後の休息

「一言 言っとけば良かったね!」
次々に並ぶ料理でテーブルが狭い
さすが西伊豆 海の幸が新鮮豊富 美味しさにビールが進む
還暦組には充分すぎるもてなしを堪能
明日の打合せもそこそこに 布団に横たわる。

トイレに目覚めて ラークを一服 窓を少し開けると 静かな雨
午前二時 北風の予感
VAIOを立ち上げ AUを使ってNetに接続
Yahooで天気の確認
「明日(今日)は下田に入れる!」

西伊豆 妻良(めら)に海から案内します

案内人の末岡です

三ツ石岬の先端は 暗岩が有るので
離れて廻ります

港入り口 向かって右側には
定置網が有ります

写真左の小島まで進むと
港の入り口が見えてきます

画面右の赤灯台が目印

漁港入り口左の岩場
とても面白い景色です
拡大すると解るのですか−−−

外側の防波堤です

港内左側にも集落があります

港内 山側の桟橋とポンツーン

港の奥 白い建物が目印
手前右側の漁協の荷揚げ場
仮の繋留が可能 水深は3m(当時)

漁協の荷揚げ場
中央のクレーンは内側堤防の工事
内側堤防のは ビジターバースが有ります

観光船に繋留する時は
事前に許可が必要です

静かな良い港です
いつかは家内と旅したい西伊豆です

妻良の案内でした

入港を保証する物では有りません
念のため。

さて 11月30日 10:00 民宿の美味しい朝食をたらふく食って出港
睡眠も充分 気力は充実
港内は北の風12knt 下田までの短い航海
半島の地形を楯に石廊崎へ進む
タックして沖に出るが西流が強い
再びタック 切り立つ半島の近場 水深に注意して進む
石廊崎灯台を楽しみながらクリア
沖に出して神子元へ針路を変更
半島と神子元の間には岩礁が点在する
多分地元のセーラーはもっと楽な水路を走るのだろう
安全確保で神子元の北水路 本船航路へ艇を進める
対水6.5knt対地3knt 潮流が行く手を阻む
やはり ここは海の難所 通行手形に忍耐と書いてほしい
神子元通過13:00
港内に入ると又も東の吹き出し
14:30 下田ポンツーン接舷
西山君の手配で下田ボートサービスさんの出迎えを受ける
ポンツーン使用料¥4000/day
【明日もこの風 強いでしょうね】
下田温泉で 一息ついて 港に近い趣一杯の静かなレストラン
味も雰囲気もミシュラン級 オーナーのママ様は5スターでした。
 

難関の岬をやっと 一つ越えてきたが
明日の風は 甘くはなさそう
ハルを叩く波音が未明まで続く
明日から師走か−−−。

『熱海温泉ですよ』
下田駅前のマックでモーニング
『伊豆急で熱海に出て 観光しましょう』
各駅停車の電車に乗る

12月1日 06:00 起床
湾内は北東 14knt
「走って見ましょう ダメならば 早めに戻ります」
湾外は北東 25kntオーバー 須崎の半島を超えるのは苦しい
別府出港10日目 目的地まで後1日 艇も人も無事故で着きたい
「戻りましょう 明日が有ります」

車窓から見る東伊豆の海は一見静かに見えるが
岩場や堤防に打ち上げる波は東風が弱くない事を教える
熱海駅で下車 急な坂道を下って海岸に出る
ここは「金色夜叉」の舞台
有名な お宮の松を見物
海岸の公園に隣接して熱海ヨットハーバーも有る
坂道を戻りながら熱海七湯を訪ねる
この古い温泉街もニーズの変化に遅れを取っているようだ
閉鎖した温泉ホテル 建築途中で放棄したマンション
リニューアル出来ずに経営を続ける旅館
つらい材料はいろいろ有るが 街にはシニアが闊歩している
温泉旅館で立ち寄り湯をお願いする
「あ〜これで 生涯の思い出も出来た!」

16:00 追加の繋留費を支払う
【爪木崎を越えるまで我慢して 半島に沿って上れば稲取くらいから楽になる】
「明日は頑張ってみます」
【食事なら 廉くて旨い中華が近いよ そこの角−−−−】
『今日はしっかり食べて 明日に備えます』
当然 異議なし 生ビールも旨い。

下田入港案内

桟橋使用は事前に連絡
下田ボートサービス
0558−22−5511
下田港 正面 下田桟橋
左防波堤 先端の緑ブイ目印 中央防波堤 工事中 右水路 工事中 黄色ブイ
犬走島 内防波堤  右奥
保安庁泊地 正面 市街 右 ホテル

「出港します!」
夕食を摂って艇に戻る
それまでの東風がピタリと止んで北風がほんの少し そよそよと吹き出している
「今がチャンス 出ますよ」
慌しく出港準備
18:00 舫いを解く
須崎半島南端は東の波が残り 艇速が上らない
周辺に漁船と本船の灯火が多数
半島東端の爪木崎を過ぎて相模灘を伊豆半島に沿って北上 
稲取岬を過ぎて海面は静かになる
城ヶ島から伊東 順調にログが伸びる
初島西を北上 熱海が近い
真鶴半島南 25:00 針路変更し相模湾を横断コース
『真夜中が弱いんでしょ 先に休んで下さい』
12月2日 03:00 ワッチ交代
三浦半島 城ヶ島灯台の点滅を確認
充分な距離を維持して東進 
06:00 浦賀水道に入る
房総半島の彼方に朝日が昇る
目的地 浦賀は近い。

尾鷲海上保安部の皆様
下田ボートサービス様
西山 隆 様

回航をサポート下さった皆さん ありがとう ございます。

 

マリンポート コーチヤにて

浦賀 横須賀 散歩

マリーナに到着 荷物をパッキングする
ハーバーマスターにお願いして宅急便で送る
マリンポート コーチヤは老舗のマリーナ 管理や整備のスタッフはベテラン揃い
対応はシャープで さすが都市圏のマリーナ
対岸には巨大なベラシスマリーナがある


艇の引継ぎを済まして 取り合えず浦賀駅まで散歩
駅前で朝食と思ったが 駅周辺には見つからない
『電車で横須賀に出ましょう』
これには 即 賛成
横須賀駅前でマックモーニング
『三笠を見物しましょう』
駅前から徒歩約10分
日露戦争当時の戦艦三笠が鎮座している

艦内を見学するのも楽しい
その時代に思いを馳せる。